

Gansインタビュー第2回
中井大悟〜松本の新守護神〜
ゴール前に立ち塞がる「門番」にご登場いただく。
北信越リーグ第2節から出場し、レギュラーとして安定感たっぷりのプレーを見せているゴールキーパーの中井大悟。ご存知、ザスパ草津で背番号1をつけていた選手。県リーグから関東リーグ、そしてJFLまでの夢のような物語の一端を担った。
――「昇格」することの苦しみとそれに倍する喜びを、この選手は知っている。
――本日はよろしくお願い致します。最初に今までの経歴をお願い致します。
「名古屋グランパスユースで3年やって、東海リーグのチームで2年間。栃木県リーグのチームに移って、その後リエゾン草津から愛知FCを経て、ザスパ草津で4年間プレーしました」
――その中で特に思い出に残った年を教えて下さい。
「一番はザスパ草津で県リーグから関東リーグに昇格した年なんですけど、試合にも出られましたし、昇格した試合は非常に盛り上がって……そうだなあ、あの年が良かったですね」
――その頃は既にチームはJリーグ昇格を目指していたわけですね?
「そうですね。その初年度です」
――松本山雅入団の経緯をお聞かせ下さい。
「去年一年間イタリアにテストを受けに行っていまして、日本に帰って来てから、どこか上を目指しているチームはないのかなと思って、インターネットで色々調べたんです。無ければもう地元の愛知に帰って、そこでサッカーをやろうかなと思っていたんですけど、幾つかチームがありまして。まず松本山雅。そしてグルージャ盛岡。あとFC岐阜。この3つに絞って、自分でチームに電話をかけたりして……。で、松本山雅と盛岡の方に練習参加することになって、最終的には松本山雅に入団することを決めました」
――チームに入団されて2ヶ月ほど経ちますが、改めて決意のほどをお聞かせ下さい。
「リーグ戦最優先。北信越リーグ1部昇格。とにかくそれしかないですね」
――松本市は初めてですか? 市内の印象はどうでしょう。
「母親の実家が木曽福島なんです。親戚も結構この辺にいますし、赤ん坊の頃はこっちの方でも生活していたみたいなんですけど、記憶には無いですね。それからもちょくちょく松本には来ているので、実は知っているような街ですね」
――ではホームスタジアムのアルウィンの印象は?
「アルウィンは今年初めて見たんですけど、立派なスタジアムですよね。これだけはどこにも引けをとらないんじゃないですか。Jレベルのスタジアムが既にあるわけですから大きな強みですよね」
――ところで、5月7日の試合(アルウィンで開催されたJ2公式戦「ヴァンフォーレ甲府対ザスパ草津」)は観られましたか?
「はい、観ました。草津のサポーターにも良くしてもらいました。……なかなか勝てないですね。今年は厳しいかも知れないですが、やっぱり頑張って欲しいです」
――チームの現在の雰囲気はどうですか?
「勝った負けたはありますけど、全体のモチベーションは変わっていません。雰囲気は決して悪くないです」
――自分のセールスポイントは何ですか。
「クロスボールの処理と、一対一の出だしです」
――自分の課題点はどこですか。
「バックパスの処理です」
――尊敬もしくは応援する選手などはいますか?
「去年イタリアに行ったというのもありますが、あの国はキーパーの宝庫なんです。その中でも、最近代表に復帰したアンジェロ・ペルッツィ(ラツィオ)ですね。身長も同じくらいですし、彼のプレーは参考になります。目標です」
――いま一番サポーターに望むことは何ですか?
「温かく激しく応援してくれて非常にありがたいですが、不甲斐ないプレーに関してはもっと厳しく指摘して欲しいですね」
――最後になりますが、ファン・サポーターの皆さんに一言お願いします。
「とにかく昇格をして、皆と一緒に喜びたいと。それだけ願っています。是非とも最後までお付き合い下さい!」
――ありがとうございました。

周りは口を揃えて、彼のことをこう言う。――とにかく真面目な男だと。
しかし、インタビューを通して見えた素顔は予想以上にサービス精神旺盛で茶目っ気すら感じた。意外な松本との「縁」も伺えたし、何よりサッカーが心底好きだということが良く分かった。
「不甲斐ないプレーには厳しく」と言うが、こんな一面を見てしまっては、彼に対してブーイングなんて出来るのだろうか。。。
Text by Tasuku Taki
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